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現在、絶賛無職中の僕が、世界中を旅するブログです。

マカオ編・斬新な髪型の彼女について僕が思うこと

香港のスターフェリーを利用して、マカオに行くことにした。前日、ステフからのメールを待って1日中ゲストハウスにいた僕は、このままでは引きこもりになると思い、鬱々とした気分を吹き飛ばすため、前々から行ってみたかったマカオに行くことを決意したのだ。
マカオは香港の西南西60キロに位置し、フェリーで1時間ほどでいけた。料金は片道3000円ほど、貧乏旅行者にはかなりの痛手だ。
マカオの魅力と言えば、世界遺産とカジノ。
毎年埋め立てで拡大しているらしいが、本来のマカオの面積は僅かで、世田谷区の半分程だと言う。そのなかで、これでもかと言うほどたくさんの世界遺産が詰め込められている。と言うのもマカオの歴史は、ポルトガル船が中国と貿易するための寄港地として始まり、その後、極東におけるキリスト教の拠点として多くの宣教師が訪れるようになったからだ。
狭い領地に教会が沢山建ち並んだため、今でも教会の密集度は世界一。元々ある寺や、要塞なんかも合わせて、数えるのが大変なほど多くの世界遺産を持つことになったのだ。
僕は日のあるうちは世界遺産を回り、夜になったらカジノに行くことにした。
マカオタワーに行き、続いてマカオで最も古い寺院である女馬閣廟に行った。ここはマカオの名前の由来になった寺院だった。16世紀、ポルトガル人が最初に上陸したときにこの土地の名前を訪ねたところ、地元の人が誤解して「アマガオ」と寺院の名前を教え、それが簡略化されポルトガル語でマカオとなったのだ。

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そこまでは観光も順調だったのだか、次に向かったセナド広場と聖ポール天主堂跡で問題発生。バスで向かったのだが、気づけば終点のバス停に着いてしまっていた。慌て逆方向のバス停に戻る。そう言えばセナド広場に行くからと言って、バス停の名前がセナド広場とは限らないではないかと頭を掻く。同じ轍を踏まないように、隣の男性に聴いてみる「セナド広場と聖ポール天主堂跡に行くには何て言うバス停で降りれば良いのですか?」彼は「漢字でもいい?新馬路だよ」と教えてくれた。それをきっかけに彼と話始めた。彼はキィンサンだと名乗った。発音が難しく、僕は頭の中で金さんと変換する。彼の両親が日本に来たことがあるらしく、「とっても良いところだね」と誉めてくれた。僕もほとんど知らないくせにマカオは素晴らしい所だと誉め讃えた。「あなたはカジノに行きますか?」と聴いたら、金さんは「カジノに行くのは観光客だけだよ」と笑ってで教えてくれた。バス停に着きお別れを言うと、僕も家が近くだから、聖ポール天主堂跡まで案内するよと言ってくれた。セナド広場を横切り聖ポール天主堂跡へたどり着いた。マカオの観光ガイドブックの表紙になるだけあって、かなり立派だ。ちなみにここには徳川家康レリーフもあった。江戸時代キリスト教を邪教として迫害した家康は、魔物として描かれてた。日本では狸呼ばわりされ、マカオでは魔物扱い。。家康さん、どんまい。金さんと記念撮影したあと、彼はじゃあねといって来た道を引き返していった。どうやら彼はわざわざ僕が迷わないようにここまで来てくれたらしい。家が近いと言うのも、もしかするとウソかも。マカオの地で現代の聖人を観た。ありがとう金さん!


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夜になりステフに教えて貰ったVenetian Hotelのカジノに向かった。
カジノは僕がこの貧乏旅行で唯一許した贅沢でもあった。賭ける為の資金はきっかり100米国ドル、約12000円だ。ちなみに手元のガイドブックには、「カジノは5万~10万ほどあれば充分楽しめます」となっていた。どうも土俵にも立てていないらしい。
当然、最初の資金が潤沢なほど賭け事は有利であり、僕は何だか、戦車やマシンガンの玉が飛び交っている現代の戦場で、自分だけ竹槍で挑むような一抹の心細さを感じた。
カジノに入ってまず、その広さに驚いた。
体育館5~6個分だろうか。とにかく広い。僕は現金をチップに変えた。100ドルは8枚のチップに変わった。チップには100香港ドルと刻印されている。つまり1枚1500円ほどと言うことだ。
ホールを一通り見終わったあと、僕はお目当ての台へ移動した。「大少(ダイスウ)」。
バックパッカーのバイブル「深夜特急」でもお馴染みなので、賭け事に興味ない人でも知っているかも知れない。大小は日本の丁半サイコロに似ており、3つのサイコロを使い出目を当てるゲームだ。
4~10までを小、11~17までを大。単純に大か小に賭けるやり方、数字の合計を当てるやり方、出る数字を1つ、2つ、3つあてるやり方。出る確率が低い賭け方ほど、当然倍率は上がる。ちなみに単純な大小賭けだと、1WIN1 つまり1枚賭けて勝利をすれば2枚になり、負ければ0枚になる。わかりやすい。僕はその分かりやすさにひかれた。
また、ゾロ目が出たら親の総取りであり、単純に大小賭けしたとしても勝率50%とはいかず、長引けば長引くだけ不利になるようだった。
深夜特急」の中で、作者の沢木耕太郎は、確信は持てないとしながらも2つの攻略法を見つけ出す。1つは大小の目は実はカジノ側が操作しており、例えば大に賭けが集中した時、小を出すと言うもの。つまりカジノ側の思考の逆をつけば勝てる考えだ。もうひとつは音。大が出る音、小が出る音が微妙に違うらしい。結果から言うとこの攻略法は何の役にも立たなかった。
まず、カジノ側が出目を操作してるとしても、当然ながらそんなにあからさまに目を操作することはなく、相手の思考を読むことは不可能だった。続いて音。僕は暫く音に集中した。3つのサイコロに料理を運ぶ時に使うような蓋を被さる。次に音がなる「ダン・ダン・ダン・ダン」と。なんとなく大の方が一定の音であるのに対して、小は最後のダンだけ半音高い気がした。僕はその仮説を証明するため。暫く台を見続け、頭の中で賭けた。すると3回連続大・小・大と当てることができた。
僕は攻略法と興奮した。実際にかけてみることにした。「ダン・ダン・ダン・ダン」完全に大。僕は大小のミニマムベットである3枚を大に賭けた。結果は。。小
ものの数秒で4500円失った。
結局、わかりやすい攻略法などないのだ。大体マンガでも「このゲームには攻略法がある」と序盤で言えば破られるし、「このゲームは俺が予想する最悪の流れに向かっているかもしれない」と言えばその通りになる。僕は一旦、大小の台を離れてバカラ、スロット、ポーカー何かを観た後、ルーレットの台にたどり着き、ちまちま、ちまちま賭けた。結果2枚チップを失った。僕は頭を冷やすためにトイレに向かう。鏡で自分の顔を観ながら「何か違え」と思った。金もないのにカジノに来ている時点でアホなのだ。何を懸命ぶって攻略法だの、ちまちま賭けなどしてるのだ。失うか得るか、そんだけだろ。大体ちまちましている奴にチャンスの女神が微笑むとも思えなかった。僕は顔を洗い。髪を後ろに縛り直し、大小の台に戻った。持っている3枚のチップをすべて大に賭けた。来るなら来い。持ってくなら持ってけ。結果は。。。
「大」!良し!
僕は続けて6枚全てを大に賭けた。結果は。。。。
「大」!良し!良し!
僕は12枚全てを大に賭けようとしたけど、何かが一瞬躊躇させた。僕は賭けなかったが、結果は「大」
う~ん。賭けていれば。。一度台から離れる。もう一度賭けをするか、帰るか。。僕はホールを回って考え続けた。「僅かだけど、プラスだしここいらで帰ろう」という声と「今帰ったらせいぜいフェリー代位にしかならない。もう一勝負しよう」という声が聴こえた。どちらも正しく聴こえた。散々迷って、僕はカジノから出ることにした。一度は尽きかけた資金がプラスになっている。竹槍一本で生きて帰れただけでも上出来ではないかと思えた。それでも、もう一勝負という考えはずっとあり、必ずしも清々しい気持ちでないままカジノを後にした。8枚のチップが12枚になり。6000円の勝利。我ながらスケールが小さくて笑える。それでも敗けじゃない。チャンスの女神には後ろ髪がないと言う。通り過ぎてからでは遅いと言うことだ。僕の目の前に有ったのはチャンスだったのか、破滅だったのか。。
とにかく斬新な髪型をした彼女は、どこかにいってしまった。もし、また賭けなければいけない場面が来た時、僕はどうするだろう。前髪を掴むか、見送るか。何だかこのカジノでの一連の出来事を思い返した時、大2連続でた時は、お金なんてどうでも良かった気がする。欲望から一歩下がった時、案外運は向いてくるのかもしれない。
「斬新な髪型をした彼女に振り替えって貰うには、欲望という手で触れてはならい。」僕がカジノから学んだ教訓らしきものだった。
今ではそんな風に思う。

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