Welcome Aboard -旅するために旅をする

現在、絶賛無職中の僕が、世界中を旅するブログです。

旅に出る理由のようなもの

 僕がまだ学生だったころ。当時の僕は就職活動を終え、最後のモラトリアムとも言える時期にいた。就職してからのことを考え、いそいそと資格の勉強に勤しむなくてことはなく、何をするでもなくぼんやり過ごしていたように思う。

そんな日々の中で、たくさんの映画を観ていた。特に印象に残っているのが、ショーン・ペンが監督した「イントゥ・ザ・ワイルド」実話を基にしたロードムービーで、主役のクリスは家庭環境に問題を抱えながらも、優秀な成績で大学を卒業する。しかし、約束されたエリートの道があるにも関わらず、過剰な物質主義に疑問を感じて、旅に出ることを選ぶ。全財産を寄付し、無一文になりながら、現代社会で生きているだけでは得れない経験し、会うことのできない人たちに会っていった。過酷な旅の果てに目的地のアラスカの大地にたどり着く。そして、不慮の事故でその生涯を閉じることになる。彼が最後にたどり着いた「幸せは分け合えた時初めて現実になる」という答えと、その生きざまは僕に強い衝撃をあたえた。そして、同時にある疑問を投げ掛け続けた。それは「今の生き方で本当にいいのか?」と言う根源的な疑問であった。その疑問は働き初めて3年がたっても音叉を鳴らした時のようにいつまでも、いつまでも僕の中で響いていた。

僕が仕事を辞めて世界一周の旅に出ようと決めた理由は1つじゃない。先ほどの「イントゥ・ザ・ワイルド」を観たこともそうだし、母が若い時から日本中をヒッチハイクで旅をしていたことに影響を受けたのかも知れない。友人や先輩が世界中を旅してまわっていることに刺激を受けたのもある。でも、つまるところ僕自身が旅をする経験をしたかったのである。旅することが目的の旅。旅をすることで訪れる自分の変化を観てみたいのだ。旅をするのに大義や理由なんてある意味いらないのかも知れない。
 また、自分探しがしたい訳ではない。そもそも自分はここにいる。海外に行こうが宇宙に行こうが、向き合わなくてはいけないのは自分自身であることに変わりはないのだ。

「世界一周の冒険の旅に行くんだ」なんてピーターパンシンドロームを全面に押し出したと思われる主張をしても両親は許してくれたし、多くの友人は好意的に受け入れてくれた。
自分の身勝手な行動で多くの人に迷惑と心配をかけ、社会的な信用も損なうことにもなる。
それでも旅を続けるべきだったかどうかはこれからの僕にかかっているのだろう。

タイミングとは不思議なもので僕が旅に出ようと決意してから、抱えていた仕事の目処がたち、金銭的にも何とかなりそうなほどのお金が用意できた。両親は健在だし、世界を巻き込む大きな戦争だって起きていない。
すべての物事が僕に行けと言っているようだった。タイミングの門を開く鍵は、機会を待つことではなく「臆せず行動すること」なのだろう。


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